一般社団法人 日本・多国間臨床試験機構について
設立の経緯
4代目理事長
和田 洋巳
我々は、米国のがん臨床研究グループ SWOG (Southwest Oncology Group) による支援の下、1992年2月から日米の指導的な癌治療専門医の相互交流プログラムを開始し、卵巣癌、子宮癌、膀胱癌、前立腺癌、胃癌、食道癌、骨・軟部組織腫瘍、肺癌、頭頸部癌、乳癌等の領域をテーマにUS-Japan Clinical Trials Summitを行ってきました。合同会議を通じて、研究のさらなる促進には日米共同研究が不可欠であるとの結論に至り、1998年11月にサンフランシスコで行われた肺がん領域をテーマとする第6回合同会議において、進行非小細胞肺癌のランダム化臨床試験が提案されました。しかしながら、従来、日本には、このような大規模かつ国際的な臨床試験を支援する組織はなく、研究を滞りなく進めることは困難でした。
これらの背景から、US-Japan Clinical Trials Summit の主要メンバーが結集して、「日本・多国間臨床試験機構」を1999年10月に設立するに至りました。その後、2005年8月には、「有限責任中間法人 日本・多国間臨床試験機構」に、2009年6月には、公益法人制度改革により非営利型の「一般社団法人 日本・多国間臨床試験機構」に名称変更を行いました。
目的
本機構の主な目的は、疾病の診断、治療および予防に関する臨床試験、特に多施設あるいは多国間で共同して実施されるランダム化比較臨床試験、を支援することです。本機構は、新薬あるいは既承認薬、手術、放射線治療を用いた集学的治療に関する臨床試験を実施し、より有効かつ安全な治療法を開発し、より早く患者の生存とQOLを改善することを目指しています。また、教育プログラムを提供して臨床試験の遂行に必要な人材を養成するとともに、研究者間の協力の促進を図り、我が国における臨床科学の発展ならびに医療の向上に寄与することも本機構の重要な目的のひとつです。